「こんな夜更けにバナナかよ」人間の意地と強さと弱さと… [2019-81]【レビュー#282】

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キッカケは映画から。
大泉洋主演で高木充希がバナナの映画。(なんか違う)
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 [DVD] - 大泉 洋, 高畑充希, 三浦春馬, 萩原聖人, 渡辺真起子, 宇野祥平, 竜 雷太, 綾戸智恵, 佐藤浩市, 原田美枝子, 前田 哲
軽妙なタッチで筋ジス(筋ジストロフィー)鹿野の強烈なキャラクターと、
それを取り巻くボラ(ボランティア)含めた様々なひとの人間模様を描いた作品。
本人の当時の映像とかも見られてすごいインパクトのある映画だった。めっちゃ泣き笑い。

面白かったですよ。

といってここでするのは映画の紹介ではなくて、そこから触発されてすぐに本買いました、
というお話しです。

なんだかんだで読み始めるのにも、そして手をつけ始めてからも時間が掛かってしまいました。

「そんな時間かかるの?普通の小説じゃないの?」

と思うかもしれませんし、私も読み始める前までそう思ってました。
が、小説じゃなくてノンフィクションだったんです。
そしていわゆるルポルタージュ、ていうんでしょうか、映画のような軽快なタッチはゼロ。

ゼロ、っていうと言い過ぎですが、鹿野靖明の最後の2年4カ月間の取材を経て、
実直に鹿野を取り巻く人間模様や障害者を取り巻く社会情勢などが克明に描かれています。
とにかく結構な情報量で圧倒されます。

私が今回読んだのは文庫版ですが、文庫化される前ってどんなボリュームだったんだろうか…
いずれにせよ、かなりのボリュームだったんじゃないかと予想されます。

一言でいうならエンタメ要素はないです。
著者本人も、あんなコミカルな映画になるとは予想もしてなかったんではなかろうか。

さすがルポルタージュなので、エピソードだけじゃなくて、そもそも筋ジスってなに?
とか、難病ってなに?
当時の法制度、社会情勢、等々、彼ら障害者を取り巻く環境も詳しく紹介されていて、
そういう背景を頭に置いて読むと、さらに凄さが伝わってきます。

その中で紹介されていた、WHOの障害の3つの分類がわかりやすかった。
Impairment
Disability
Handicap
ここで詳しく説明はしませんけど、障害、と一言でくくってしまうというと、
なんか色んな要素がごっちゃになってて分かりづらかったり、
話しをしててもそこら辺の区分けが曖昧でズレたりすることもあるなぁ、と。
こういう概念で前提となる認識を揃えて議論しないといけないし、そうすることで、
なんの話しをしてるのか、論点がわかりやすくなるのよね、と。

最後に、個人的な備忘録ですが、印象に残ったボラの一言があったので置いておきます。
印象的な人間観、というか接し方だなぁと。

みんなどっか観念的すぎるんですよ。オレは今でも生徒に対してそうだけど、あんまり家庭の事情とか、性格の裏側なんは考え過ぎないようにしてる。中には、問題起ごす生徒もいるし、ドロドロした家庭で育った生徒もいるんだけど、オレは資料を見るより、まず現実の生徒と向かい合ってみることだと思ってるから。そして、なるべく現実に出てるものだけで判断して、付き合おうと思ってるから。

「今」を「眼の前の現実」を見る、と。
禅ですね。禅。

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