真の多様性を体感する「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」[20-15]【レビュー#300】

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多様性、とはいうけどさ…

祝!レビュー300冊目!!
ひとつの節目、達成感を感じている読書の専門家りゅうたろうです。

ブレイデイみかこの最新作だったのでずっと気になってました。

ていうといかにもブレイディみかこ、よく知ってます、よく呼んでます。
ふうな書き方ですが、一冊しか読んだことありません(苦笑)

それがこちらの「アナキズム・イン・ザ・UK」でした。


今日ご紹介の「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」も、この「アナキズム〜」
の延長線上で、白人貧困層の話かと思って、もういいかな、とそのままにしてました。

自分もよく知らなかったくせに、この本がどこの本屋でもめっちゃ平積みで、
華美な賛辞にあふれたポップを見てたら、なんだかチンケな反骨精神なのか、
「別にいいかな」
的な思いが強まって、そのまま読まずじまいできてしまっていました。

そしたらですね、娘から読みたい、とリクエストがあって、そうこうするうちに、
妻が買っていて、ウチに到着してました。

なんか「本屋大賞」とか獲ったみたいですね。
と思って調べてみると意外と見つけづらくて、別に疑ってたわけじゃないんですが、
正確には「本屋大賞2019ノンフィクション本大賞」という賞です。

まぁとにかくエラい人気なんです。

娘が忙しかったり他に読む本があってなかなか手がつかないのを見計らって、
スキをついて読了。

いやね、もっと早く読めばよかったなぁと若干後悔。
確かに貧困白人層の話し、というかそういうエリアに住んでいるので、
勢いそうなるんですが、今回の題材はちょっと違って息子が主人公。
(前回ご紹介の「アナキズム〜」は筆者が働いていた保育園が舞台)

この本は、息子が通うことになった「元底辺学校」といわれる公立の中学校で起こる、
息子を取り巻くさまざまな人間模様。
そこから透けて見える現代のイギリスが直面する政治、経済、社会、などのさまざまな課題。

「老人はすべてを信じる。中年はすべてを疑う。若者はすべてを知っている」

というオスカー・ワイルドの言葉を引用して、そこにひとこと

「子どもはすべてにぶち当たる」

をつけくわえたところから始まる。

同じ公立でもトップクラスのカトリック小学校から、元底辺学校といわれる中学に進学してから、
1年半での子どもの成長ぶりもたくましく微笑ましい。
そんな温かい気持ちと胸の奥がえぐられるような感覚、そんな対照的な感情が、
一度に味わえる不思議な作品。

印象的だったのは、共感(エンパシー)と同情の違いについて、こんな描写が。
つまり、シンパシーのほうはかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情のことだから、自分で努力をしなくとも自然に出て来る。だが、エンパシーは違う。自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像するカのことだ。シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言えるかもしれない。
エンパシーは「知的作業」
つまり鍛えることができる、てことでしょうね。


読了日: 2020年3月28日
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ブレイディ みかこ 新潮社 2019年06月21日
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