タクワンです。漢字で書くと沢庵。
2019年、2冊めはまたしても仏教系の一冊。
といっても純粋な仏教書ではなく、ちょっと趣が違います。
それがこちら。
実際の装丁はもっとミニマルで高品位な感じです。
沢庵宗彭和尚、つまり僧侶による兵法の心得。
かの有名な柳生宗矩の依頼で書かれたものです。
こちらにも本日ご紹介の不動智神妙録からの引用がたくさん出てきます。
この二冊は表裏一体、のような関係ですかね。
ちなみに沢庵和尚は「たくあん」の語源になったお坊さん。
(参考:東海漬物ホームページ)
どうでもいいんですが、この本の題名、不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)、
名前がぜんぜん覚えられませんでした。しばらくは予測入力だより 笑
この不動智神妙録、兵法の心得書ではあるんですが、仏教、禅の教えになぞらえて、
それらを活用して、兵法の教えに置き換えて説明する、という構成になっています。
ということではありますが、兵法だけでなく、そしてまたこの時代(戦国〜江戸時代)に限らず、
今でも十分に通用する内容です。
これまでにも何度かご紹介しているとおり、(と思ったらそうでもなくて、
ここであからさまに触れてるだけでした)坐禅を毎朝組んでおります。
そんな私にたいへん参考になったのが、心・意識の置き方として千手観音のように、
という一節がありまして、これが非常に腹落ちしました。
「千手観音の不動智」から少し引用しますと:
千手観音だとて、手が千本おありになりますが、もし、弓を持っている一つの手に心がとらわれてしまえば、残りの九百九十九の手は、どれも役には立ちますまい。一つのところに心を止めないからこそ、千本の手が皆、役に立つのです。
その他にも大いに参考にすべきところ、学びの宝庫ですが、
訳者の冒頭の「沢庵の今日的意味」が傑作です。
すべてを語りつくしているといっても過言ではありません。
そこに懸けた思いが、奥付の手前に奥様の名前で「追記」として記されていて、
これも短いですがたいへんに心打たれます。
不動智神妙録
読了日: 2019年1月4日
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